【スプラトゥーン2】私がそれを持つ理由③
小説 占いツクール スプラトゥーン最高ランク : 36 , 更新:
※
・オリイカ
・オネエ口調のイカ
・稚拙な文章
・なんか
+-+-+
練習場への扉を開けた瞬間、聞いたことのある音と何かが弾けるような音がして、私は思わず身を潜める。
「ん〜……微妙ねぇ」
メンテ不足かしら、と音の主は困ったようにボヤく。私は耳を疑った、髪を下ろしているからガールかと思ったが、ボーイではないか。
「嘘、でしょ……」
「あら、誰かいるの?」
「!」
しまった、その感想しか出てこなかった。ブキチがあれだけ渋っていたのだ。絶対に何かあるに違いない、例えガールのような口調であったとしても、実際はとても恐ろしいイカかもしれない。
そう思うと返事が出来なかった。リッター3Kを抱えてしゃがみ込み、その場で小さく震えていた。勝手に覗いていたし、返事をしないし、怒られるかもしれない。そんなことを考えながら。
しかしそれらは、全部外れてしまった。
「みーつけたっ」
「あっ……」
「もう、返事くらいしなきゃ駄目じゃないの。いきなり声が聞こえてお姉さんビックリしたわ」
「ご、ごめんなさい……お、お姉さん……」
お姉さん、という言葉が正しいかは別として。立てる?そう優しく笑みを浮かべながら手を差し伸べてくれているその姿は、とても恐ろしいイカには見えない。
私は震える手でその手を握り返した。簡単に引っ張りあげられてしまった体はバランスを崩しかけてよろめいたが、なんとかその場に踏ん張った。
「あらそれ、リッター3K?」
「え?はい」
不思議そうに覗き込まれ勢いで頷く。何も間違ってはいない、これは紛うことなきリッター3Kだ。雀の涙程度のお小遣いと、貯まっていたお年玉で買った、初めての相棒。
「懐かしいわぁ、アタシも昔はそれ使ってたの」
「そう、なんですか……」
ふふふっ、と頬に手を添えながら笑う姿は正におしとやかなガールそのものだった。しかし腕に抱えられているものがその雰囲気を壊している。リッター3Kスコープ、私の3Kにスコープが付いて更に射程が伸びた、恐ろしいブキ。
「難しいわよね、リッターって」
「へ?」
心を読まれたのだろうかと思ったが、そんなことはないと思う。顔を上げてお姉さんを見るとその顔は明らかに、今の自分と重ねられるものだったから。
「お姉さんも、キルできなかったんですか」
出来ていたら失礼の質問だった。お姉さんは静かに頷く。
「元々使ってたのがこんな長射程じゃなかったから、最初は戦犯のかましまくりよ」
「私と一緒だ……」
そこから暫く私たちは座って話をしていた。話を聞いてみると、お姉さんがリッターを持ったきっかけというのは「かっこよかった」かららしい。だからシューターとの相違点に、最初は困惑しまくりだったという。
「射程の感覚も長すぎて掴めなかったわ、タイミングよくチャージして打ってかないと、すぐにやられちゃう」
「ですよね!しかも相手は動く的……難しすぎます」
「そうそう!ねえ、そういえばあなたはどうしてリッターにしたの?」
「え?」
その質問に、すぐ返事が出来なかった。そういえば、どうしてだっただろう。
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